【プラスチックの歴史】とフィルム
【History of plastic】 and film

 先日のコダック破綻のニュースは写真を撮って来た者には寂しい思いがありますが、私はプラスチックの歴史としても時代の流れを感じました。写真フィルムの進歩についてはプラスチックの歴史の中で欠かせない出来ごとです。


 19世紀の後半は完全な人工プラスチックが開発されるための準備期間のようなものでした。
私達はプラスチックは画期的な発明素材であると思っていますが、自然界には琥珀・べっ甲・砥石などの高分子樹脂があり、昔から利用されていました。でもそのような天然の素材は採れる地域も限られ高価で、限られた層にしか行き渡らない、庶民とは縁遠いものでした。そこで人工の高分子―プラスチックの開発が始まります。
 世界で一番最初のプラスチックは、1862年の博覧会で展示されました。発明者はアレクサンドル・ペアーズという英国人で、1850年代の終わりに発明した硝酸セルロースという樹脂です。でも厳密には天然の樟脳を原料にした半合成のプラスチックと言えそうです。当初は商業的には順調といえませんでしたが、装飾品・ナイフハンドル・箱・手錠などの商品生産で次第に広がって行きました。
 その後1870年に、アメリカのハイアット兄弟が、硝酸セルロースをそれまでの象牙のビリヤードの球の代替に使用する研究開発に成功して特許を取り、商業的にも成功を収めます。それがセルロイドです。これは義歯としても重宝されました。
 しかし、このセルロイドは火薬のように燃えやすい欠点がありました。セルロイドのフィルムは「セル画」という名にも残るように映画のフィルムとして使われ、そのおかげで映像文化も幕開け発展してきたのですが、当初の映画館の映写室は、まるで火薬庫のようなものでした。1900年代の初めにはその欠点を改良した酢酸セルロースが開発され、セーフティーフィルムとしてその後広く使用されて来ました。さらに牛乳から硬く成型が出来るカゼイン・ホルムアルデヒドも開発され、ボタン・バックルや編み針の用途などで普及して、ファッションが一般市民の間でも楽しめる時代が来たのです。


 発明というのは、一本の筋ではなく、その芽は幾筋かに分かれていて、ある時は結びついて発展したり、ある時はまた枝分かれして別の方向に進んで行ったりするものだと思います。
 プラスチックも、また少し遡ると・・・
ベルギー生まれの化学者ベークランド(Bakeland)は、ベークライトで成功する以前、写真の印画紙(1889年ヴェロックス)の開発に成功し、その発明を750,000ドルでコダックに譲渡していました。
 また、コダックは・・・イーストマン・カラー(Eastman Color )という映画用の一本巻のネガ・カラーフィルムを1952年に発表しました。
 さらにまた、この動画は先日facebookで教えて戴いた映像ですが、1934年というとカラーフィルムが登場してたった2年後のことで驚きました。ウィリアム・K・ハワード監督の「桜咲く頃」と同作品なのでしょうか・・・?1932年に3原色テクニカラーが開発され、2年間はディズニーが独占使用したという話も聞きます。


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